パリの薬草店で働く薬剤師のブログ

エルボリストリ薬草帖

Guimauve ギモーヴ

JUGEMテーマ:フィトテラピー

こんにちは。

今回はGuimauve ギモーヴという植物についてのお話を。

日本語では「マーシュマロウ」や「アルテア」とも呼ばれます。

学名Althaea officinalis アオイ科の植物です。

花や葉、根がティザンヌに用いられます。

マーシュマロウは粘液質(多糖類ラムノガラクツロナン、アラビナンなど)が豊富に含まれています。

(地上部は5-10%、根は25%)

このためエモリエント作用があり、咳や喉の痛みの処方に加えられるほか、消化機能のトラブルや便秘にも用いられています。

 guimauve の根

 guimauve の葉

そしてもうひとつ、ティザンヌ以外にもこんなものがあります。

ギモーヴの根のバトン(棒)です。

これはHochet de guimauve オッシェ ドゥ ギモーヴと呼ばれています。

Hochet(オシェ) は赤ちゃんのがらがらのことです。

これを赤ちゃんにもたせてむしゃむしゃさせてあげると

歯が生えるときのムズムズやイライラを和らげてくれます。

そう、「歯固め」に使われるものなんです。

乾燥した状態の棒は固いですが、赤ちゃんがしゃぶると唾液で柔らかくなり、ボソボソとほどけてきます。

適度な硬さの刺激と、豊富な粘液質が歯茎のむずがゆさを緩和してくれます。

ある日偶然カフェで相席になった

bébéちゃんと一緒に一休みしていたお母さん。

ちょうどbébéちゃんの歯が生え始めてきていて、痛いのか気になるのかよく泣いていたそう。

オーガニックコスメブランドからも赤ちゃんの歯茎に塗るジェルが発売されています。

そういったものを塗っていてもなかなか泣きやまなかったそうです。

もちろん、フランスでも色々な歯固めのおもちゃがあります。固いバゲット(フランスパン)も歯固めに使われるそうです。

赤ちゃんによって好みもあるでしょうし、お母さんも素材など慎重に選んでいるようです。

「なかなかいいものが見つからないの。」とおっしゃっていました。

そのお話を聞いた時、まさにこのギモーヴのバトンがいいのでは?と思い

お母さんにお話ししました。

これ以上ない100%ナチュラルなもの。

「ぜひ試してみたいわ。早速エルボリストリに寄ってみる」と言って帰られました。

後日、ご報告をいただきました。

bébéちゃん、気に入ってくれたようでギモーヴのバトンをむしゃむしゃしているそうです。

痛みも和らいでいるよう。

以上、今回はguimauveのお話でした。

最後までお読みいただきありがとうございます。